今回の記事では、数学の点数を上げるための長期的な戦略を紹介します。
ズバリ、それは数学を好きになることです。
数学は嫌いな人が多い科目です。
数学が大好きな僕からすれば不思議で仕方ありません(笑)。
でも、気持ちはなんとなくわかります。
だっていきなり公式や意味不明な記号がポンと出てきてそれを使って問題を解けと言われるわけですから。
x,yってなんだよ!
sin,cosってなんだよ!
logってなんだよ!
微分ってなんだよ!
数学作ったやつ誰だよ!!
ってなっちゃいますよね(笑)。
途中で自分は一体何をやっているのかわからなくなる人も多いと思います。
そんな人に
「数学は暗記だ。公式を覚えて、問題の解法パターンをただ暗記しなさい。」
というのは、ひどい話です。
辛いと感じながら勉強するより、楽しいと感じながら勉強する方が脳はより力を発揮してくれます。
数学はちゃんと適切な勉強法でコツコツと勉強していけば、案外簡単でそして楽しいものです。(少なくとも僕はそうだと信じています。)
この記事を読むことで
「俺(私)でも数学が好きになれるかも」
と思っていただければ幸いです。
下の画像は今回の記事の内容が詰まったマインドマップです。
(マインドマップについて書いた記事はこちら)
マインドマップ中の「数学とは」についてはまた別の記事で紹介したいと思っています。
パッと見興味がなければ違う記事でも見ていってください(笑)
目次
1.理解する
数学を好きになるには、一つ一つを理解していくことが重要です。
分からないことを淡々とやっていてはつまらないのは当然です。
きちんと理解できれば、自分が何をやっているのか把握でき、解法パターンにも納得して、問題がスムーズに解けるようになります。
数学において大事なのは、一つの問題が解けることではありません。
一つの問題を解くことによって、それと同じような問題や、発展問題も解けるようにすることが大事なのです。
そのためには、その一つの問題の「本質」をつかむ必要があります。
つまり、その問題を隅々まで理解し、「法則(パターン)」を見つけるのです。
よくわからないまま問題が解けたところで、あなたは何も成長できません。
なので、一つ一つちゃんと理解することが大事なのです。
理解することが大事というのは、あたり前のように感じるかもしれません。
しかし、あなたは数学の教科書に書いてある習った範囲のすべての内容をしっかり理解していますか。
友達にすべての内容を説明できますか。
これができる人はなかなかいないと思います。
一つ一つ理解するということは、あたり前のように感じることですが、とても難しく、かつとても大事なことなのです。
では、理解するとは具体的にどういうことなのか、どうすればいいのか見ていきましょう。
1-1.理解するとは、分からないことに対し、なぜそうなるかを考え、調べること
授業を聞いていたり、問題集を解いていると、必ず分からないところが出てくると思います。
そこを分からないままにしておくと分からないことが積み重なっていき、数学に対して何となく苦手意識を持ってしまいます。
そうなる前に以下の方法を実行しましょう。
1-1-1.自分が分からないところを明確にする
授業を聞いていて、なんとなく分からないけど、まずどこが分からないのかも分からないという場合があります。
それでは、理解しようにもどうしようもありません。
なので、最初は自分が分からないところを明確にするところから始めましょう。
そのためには、文を1行ずつ、数式を1つずつ、ゆっくりと見ていくことが大事です。
全体を一気に理解しようとするとさっぱりわからなくなり、放り出したくなってしまいますので注意してください。
また、当たり前のように使っている数式や解法パターンに常に疑問を持ってください。
あなたはそれらを「分かったふり」で済ましていませんか。
自分が分かっているかどうかの判断基準は、人に説明できるかどうかです。
それをいつでもできるように、自分の中にいるもう一人の自分に説明してみてください。
その際「公式だから」や「そういうものだから」は禁句です。
論理的に説明してください。
説明できないようだったらそれはわかっていない証拠です。
わかったふりをせず、公式や解法パターンを常に疑う姿勢を大事にしましょう。
1-1-2.自分で考える
分からないところが明確になったら、その内容が書いてある教科書の文章や今まで習ったことから、まずは自分で考えてみましょう。
なぜこの式とこの式が=になるんだろう。
なぜわざわざこんな変形をしたのだろう。
この記号はどういう意味なんだろう。
すぐに人に聞いたりせずに、まずは自分なりに考えてみましょう。
面倒くさいと思うかもしれませんが、これは絶好のチャンスです。
何がチャンスかと言いますと、
- 数学に必要な論理的思考力を鍛える練習になる。
- 脳の性質から、よく考えて取り組んだものは忘れにくいので、ずっと覚えていられる。
- 調べる時に役に立つ。(後述)
- 自分一人で考え、理解できた時の達成感が最高。
どうですか。
このように、自分で考えることはとても効果的なんです。
1-1-3.それでも分からなければ、調べる
しかし、自分で考えてみても解決できないときがあると思います。
一つのことを理解するのに、限られた勉強時間を大量に消費していては勿体無いですし非効率です。
なので、だいたい10〜30分考えても分からないようであれば友達や先生に聞いてみたり、ネットで調べたりした方がいいと思います。
先程の箇条書きで自分で考えることは調べる時に役立つと書きました。
自分で考えると、分からないことが浮き彫りになり、ピンポイントで質問やネット検索ができるからです。
また、何も考えずに質問するより、教えてもらった内容もすぐ理解しやすくなります。
なのでやはり、まずは自分で考えるということが理解する上で重要です。
1-2.教科書の内容を理解する
何から勉強を始めたらいいかわからない人もいるかと思いますが、まずは教科書の内容を理解するところから始めましょう。
大学入試における数学は、よほどの難関大学でない限り、全ての問題が教科書の範囲から出題されます。
特にセンター試験では、ほとんどが基礎事項の組み合わせ問題です。
そこで、重要になってくるのが、教科書に載っている基礎的な内容をきっちり理解しているということです。
まずは、教科書レベルの基礎から学びましょう。
1-2-1.教科書レベルの基礎はとても大事で、実は難しい
僕は、基礎程大事なものはないと思っています。
しかし、同時に、基礎程難しいものはないとも思っています。
基礎だからといってあなどってはいけません。
よく学校の先生は、「ここは基礎的なことだから飛ばすぞー、分からなかったら各自教科書を見ろよ」と言いますよね。
少し不親切だと思いますが、分かっている人たちに合わせた授業をするためには仕方がないことです。
そこで、分からなければ、ちゃんと分かっていないことを自覚して、観念して教科書で調べましょう。
ここでやってはいけないのが、分からないことをごまかし、恥ずかしがって調べないことです。
何も恥ずかしいことなんてありません。
もう一度言います。
基礎程大事なものはありません。
同時に、基礎程難しいものはありません。
基礎をしっかり理解するのは難しいのです。
分かったような顔をして公式を使っている人の大半がその公式の本当の意味を理解できてないんです。
なので、恥ずかしがらず教科書を見てみましょう。
あなたが分からないと思ったのは誇れることです。
分かったふりをするよりも確実に成長できます。
1-2-2.教科書には公式の証明が載っている
教科書はよくできていて、「なぜその公式ができたのか」という過程(証明)が大体書いてあります。
公式は使えればいいや、という考えも悪くはないのですが、成因まで理解しておくと、応用が利きやすいです。
忘れた時に自分で導くこともできます。
また、大学の二次試験で公式の証明をする問題が出ることもあるので、その対策にもなります。
「問題は解けるけど、そもそもなぜこの公式を使っているのか分からない」
という状況では、数学はどこか味気ないものになってしまいます。
公式の証明が理解できて初めて、数学を本当の意味で理解できるのです。
おそらくこの段階に来ると、数学がとても好きになっています。
数学を好きになれればこっちのものです。
結果は後から付いてくるはずです。
しかし、公式の暗記は必須です。
問題を解くとなると公式をいちいち証明して使うわけにもいきませんので、公式はきちんと暗記しましょう。
2.遊び心を持つ
数学を好きになるには遊び心を持つことが大切です。
楽しみながら、自発的に数学をやるのです。
そうは言っても、数学が苦手で嫌いな人にとって、最初は難しいかもしれません。
そんな人はこれから紹介することを意識してみてください。
2-1.自分の手で試してみる
先生の話を聞いたり、教科書を見ているだけでは数学は身につきません。
数学を好きになり得点をあげるには、自分の手を使っていろいろ試してみる必要があります。
これは、問題を解くということだけではありません。
では、自分で試すとはどういうことなのか、例を紹介しますね。
2-1-1.公式が不安になったら自分で証明する
数学をやっていると、公式を忘れてしまうことがありますよね。
そういう時は、思い切って自分で証明してしまいましょう。
証明に苦手意識を持っている人は多いと思いますが、実は数学の醍醐味は証明にあります。
証明の考えかたに慣れてくると、数学が楽しくなってきます。
証明とは、今まで知っていることからまだ知らないことを導くことです。
三角比の公式を例に見てみましょう。
テスト中に次の公式が曖昧なので、自分で証明したいとしましょう。
$$1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta} ・・・(✳︎)$$
説明しやすいようにこの式を(✳︎)とします。
この公式って覚えづらいですよね。
これを証明するために次の二式を使います。
$$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1 ・・・①$$
$$\tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta} ・・・②$$
大事なのでもう一度言いますが、証明とは、知っていることから知らないことを導くことです。
今回は知っている二式から、目的である式(✳︎)を導くわけですね。
あくまで、目的である式は「知らないこと」であるつもりでいましょうね。
証明の基本である、(左辺)=(右辺)で導きましょう。
今回は左辺を変形していきます。
$$((✳︎)の左辺)$$
$$=1+\tan^2\theta$$
$$ =1+\left(\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\right)^2 ②より$$
$$ =\frac{\cos^2\theta}{\cos^2\theta}+\frac{\sin^2\theta}{\cos^2\theta}$$
$$ =\frac{\cos^2\theta+\sin^2\theta}{\cos^2\theta}$$
$$ =\frac{\sin^2\theta+\cos^2\theta}{\cos^2\theta}$$
$$ =\frac{1}{\cos^2\theta} ①より$$
$$ =((✳︎)の右辺)$$
(3つ目の=はsin/cos≥0という条件が必要ですが、その部分の説明は省略します)
証明完了です。
意外と簡単でしょ。
これで安心して公式を使えるわけです。
ただし、証明が難しい公式もあるし、証明が思いつかないことはよくあります。
その時は次の方法を実践しましょう。
2-1-2.公式が不安になったら自分で例を作ってみる
今回もさっきの式(✳︎)を例として使いましょう。
$$1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta}$$
この公式が主張しているのは、「どんなθを代入してもこの式は成り立つ」ということです。
どんなθでも成り立つはずなので、1つでも間違っていれば公式は間違っていることになります。
なので、何か分かりやすい例を自分で作って試してみましょう。
では、θ=60°で試してみましょうか。
$$\tan60^\circ=\sqrt{3} と \cos60^\circ=\frac{1}{2}$$ を利用しましょう。
$$((✳︎)の左辺)$$
$$=1+\tan^2{60^\circ}$$
$$=1+(\sqrt{3})^2$$
$$=1+3=4$$
$$((✳︎)の右辺)$$
$$=\frac{1}{\cos^2{60^\circ}}$$
$$=\frac{1}{(\frac{1}{2})^2}$$
$$=\frac{1}{\frac{1}{4}}=4$$
無事(左辺)=(右辺)となったので、この公式は少なくともθ=60°では成り立つとわかりました。
間違っている公式が偶然成り立つのは考えにくいのでこの公式は多分あっているだろうと推測できるわけです。
しかし、注意しなくてはいけないのが証明できたわけではないということです。
なので、偶然成り立っただけかもしれず、確実に式があっているかは判断できません。
でも、だいたいあっていることが多いので、あとは実際に自分でこの方法を実践してみて感覚をつかんでほしいと思います。
(コツとしてはθ=0°などの極端な例で試すと間違った式が偶然成り立ってしまうことが多いので、30°や60°で試すといいです。
どれが「極端」なのかは慣れないと分かりづらいかもしれませんが。)
2-2.積極的に徹底的に学ぶ
積極的に学ぶ姿勢を大事にすることで、数学を遊び心を持って楽しみながら学ぶことができます。
分かっていないことを
「先生が言うからそうなんだろう」
「こういう公式なんだろう」
「そんなもんなのか」
と曖昧に終わらせないでください。
自分が本当の意味で納得するまで徹底的に取り組んでみましょう。
2-2-1.徹底的に学ぶ時のコツ
僕は数学ほど厳密にできた学問はないと考えています。
それなのに「そんなもんなのか」と勝手に終わらせていてはもったいないです。
本当の意味で理解すると言われても、最初のうちはどの段階まで行けば本当に理解できたと言えるのか分からないかと思います。
なので、ちょっとしたコツを紹介したいと思います。
そのコツとは、「知っていることから知らないことを導く」です。
先程書いたやつですね。
基礎的で当たり前なことを少しずつ積み重ねていくことで発展的な内容になるのです。
なので、教科書や先生の「○○○なので、〜〜〜と言える。」という説明の○○○の部分も本当の意味で理解できているかを考えてみましょう。
理解できていなければそれを調べましょう。
すると、「□□□なので○○○である」という説明が見つかるかと思います。
そこでまた□□□が理解できているか自問します。
それも理解できていなければ、また調べるわけです。
この骨の折れる繰り返し作業を乗り越えてやっと本当の意味で最初の〜〜〜が理解できるのです。
骨の折れる作業と言いましたが、数学を好きになれば、自然に「なんでだろう」と疑問が湧いてきて調べられるようになります。
積極的に、徹底的に、納得のいくまで考えぬいてみましょう。
2-2-2.徹底的に学ぶ時の注意点
しかし、少しだけ注意しておいて欲しいことがあります。
それは、高校では数学を「使える」ようになることを重要視していて「理解する」ことに重点を置いていないという現実です。
(そのせいで数学嫌いは深刻化しているのだと思います。)
いい先生に巡り会えれば話は別ですが、大抵の先生は数学の厳密性をあまり重要視していません。
問題が解ければいいという考えで教えているように思います。
また、実は、高校の教科書もあまり厳密ではない部分があります。
厳密な数学は大学で学ぶんですね。
先生が厳密に教えてくれない、教科書が曖昧な表現を使っている、という環境で学ぶ時に気をつけておいて欲しいことがあります。
それは、厳密に、厳密にと突き詰めて行くと大変な労力を使わなければならない、ということです。
先生は教えてくれず、教科書にも書いてないんだから当たり前ですね。
なので、あまり深いところまで考えすぎない方がいいです。
つまり、ある程度のところで見切りをつけて、いい意味で「そんなもんか」と考えるのです。
自分でその見切りをつけられるようになりましょう。
僕がおすすめする見切りは「教科書に書いてある内容まで」です。
教科書は曖昧な表現でごまかしていることもありますが、かなり吟味された素晴らしい内容であることに変わりはありません。
厳密性を欠いている部分は、あえてそうしているでしょう。
なので、やはり教科書を軸にして勉強するのが効果的だと思います。
3.まとめ
もう一度この記事の内容が大まかに書いてあるマインドマップを載せますね。
それでは、要点をもう一度見てみましょう。
まず、数学を好きになるには一つ一つの内容を本当の意味で理解することが大事だと書きました。
理解するときは、
分からないところを明確にする→自分なりに考える→それでも分からなければ調べる
という手順を踏みましょう。
教科書には基礎が網羅されているので、教科書の内容をすべて理解するぐらいの勢いで学びましょう。
また、遊び心を持って、積極的に数学を学ぶことも大事なことです。
つまづいた時は自分の手を動かして解決してしまいましょう。
そして、余裕ができたら数学に関する面白い問題を探して挑戦してみてください。
きっと楽しめるはずです。
4.最後に
この記事では、僕の数学に関する信念のようなものも書かせていただきました。
数学嫌いの人にとっては違和感を感じ、抵抗のある内容だったかもしれません。
数学が好きな人と嫌いな人の間には大きな壁のようなものができてしまっていると思います。
もし、数学嫌いの人なのに、この記事を最後まで読むことができたのだとしたら、すごいことです。
人間は慣れないことをやったり、苦手なことに取り組んだりすることを嫌います。
それでも、思い切って一歩を踏み出してみてください。
きっとあなたも数学を好きになることができると思います。
まずは、数学は味気ない、つまらないという認識を変えてみてください。
つまらないと思って取り組んでいては、なかなか楽しいと思うことはできないからです。
この記事を活用して、徐々に数学を好きになってもらえれば嬉しいです。
終わりにします(^_^)