前編で数学には暗記が必要不可欠であるといいました。
では、暗記だけしていればちゃんと理解していなくてもいいのでしょうか。
僕の答えはNOです!
数学は暗記科目と言われることがありますが、数学という学問は理解を通して初めてその本当の姿を見せてくれるのです。
また、テストの点数を上げるのにも役立ちます。
今日は、暗記だけではなくちゃんと理解をしておくことのメリットについて書いていきます。
美味しそう( ̄¬ ̄)
ドラ◯もんの暗記パンで数学の公式を全部頭に入れたいな(^^;)
目次
理解のメリットその1 暗記しやすくなる
数学に暗記は大事だと前編に書きましたが、ただやみくもに暗記するよりもしっかり理解してから暗記する方が忘れにくくなります。
これは僕自身よく経験していることです。
時間がないことを言い訳にして公式の暗記だけをして理解をおこたりテストに臨んだことがあります。
ちゃんと理解した公式や解法はテストでもスラスラ思い出せるのに、暗記だけをしたところは全然思い出せなかったんです。
また、理解をしていれば、忘れても自分で導くことができます。
公式や解法は、初めて見る時はたいそうなものに見えますが、一度理解してしまえば案外大したことないものばかりです。
導くと聞いて驚く人もいるかもしれませんが、自分で導くことに慣れると案外簡単に公式を導くことができます。
理解のメリットその2 数学が面白くなってくる
ただただ公式や解法パターンを暗記しているだけでは、数学がつまらないものになってしまいます。
数学が苦手なひとというのは、基本的に次の2つのパターンのどちらかです。
- 計算が遅い
- 理解ができない
「なんでこんな公式になるのかわからない」「解答のこの部分でこの公式を使う理由がわからない」という状態で勉強していては、自分が何をやっているかもわからず、苦痛でしかありません。
脳は理解できない作業を淡々と行うのを嫌うからです。
これについては、この記事にも書きました。
理解のメリットその3 公式どうしや他分野とのつながりを意識できる
理解ができると、数学の「つながり」を意識できるようになります。
数学は公式どうしで実は関係性があったり、他分野とも繋がっているものが多いです。
公式や解法パターンを理解していると、他の公式や解法パターンも理解しやすくなるのです。
理解のメリットその4 応用力が身につく
これはメリット3から来るものですが、理解を大事にしていると応用的な問題にも対応できます。
入試や模試では、たいてい見たことのない問題が一つはあります。
その問題が解けるかどうかは、いかに似たような問題をしっかり理解しているか、が全てです。
数学のつながりを理解できていれば、頭の中で、見たことのない問題を知っている問題とつなげることができます。
理解していないただの暗記では、対応できる問題の幅が全然違うのです。
そうは言っても本当なの?じゃあ具体例を見てみよう
「なんか先生とかからも同じ様な事言われたけど、いまいち実感できないんだよね。
本当に、理解する事ってそんなに大事なの?」
と思っている人もいるかもしれません。
そんな人のために!
高校1年の時にやる数Ⅰ(だよね?)から具体例として一つの問題を取り上げます。
問題
次の不等式を満たすxの範囲を求めなさい。
$$x^2+2x+3>0$$
2次不等式の問題ですね。
A子さんがこれを解こうとしましたが、どうも解答が違うようです。
A子さんがどのように間違えたか、そしてどうしてそのように間違えたのかを見ていきましょう。
でもその前に、正しい2次不等式の解き方をおさらいしておきましょう。
2次不等式の解き方
2次不等式には一貫した解き方があります。
それは、グラフを利用した解き方です。
$$ax^2+bx+c>0(a,b,cは定数,aは正)$$
という2次不等式を解くときは、
$$y=\left(左辺\right)$$
と置いてみます。つまり、
$$y=ax^2+bx+c$$
です。
yとxの関係をグラフを書いて、次の二つの場合に分けて考えます。
- グラフがx軸と交わらない
- グラフがx軸と交わる
1.グラフがx軸と交わらない
この場合、次のようなグラフになります。
図を見れば分かるように、xがどんな値を取ってもyは0よりも大きいことがわかります。
yは不等式の左辺を表しているので、この場合、不等式を満たすxの範囲は次のようになります。
すべての(実数)x
2.グラフがx軸に交わる
今度は次のようなグラフになります。
今回は交わる点を仮に左から順に(α,0)(β,0)としてみましょう。(一箇所で交わる場合もあります。)
そうすると今度は、図を見れば分かるようにxがαとβの間にある時はyの値が0以下になってしまいます。
不等式を満たすのは、y(つまり左辺)が正の時です。
よって、不等式を満たすxの範囲は次のようになります。
$$x<\alpha または \beta<x$$
また、α、βというのは、図を見ればわかるようにyが0の時の値なので、
$$ax^2+bx+c=0$$
の解です。(「コレが解」ってかいてあるやつ)
よって、因数分解や解の公式で求めることができるのです。
つまり、グラフがx軸に交わる場合、
$$ax^2+bx+c>0(aは正)$$
の答えを求めるためには、
$$ax^2+bx+c=0$$
の解を因数分解や解の公式で求め、
x<α、β<x
と解答するという機械的な作業で済むことがわかります。
A子さんの間違い
さて、正しい解き方をおさらい(理解)できたので今度はA子さんの間違いを見ていきましょう。
問題
次の不等式を解きなさい。
$$x^2+2x+3>0$$
A子さんの解答
$$x^2+2x+3=0$$
という方程式を考える。
この方程式の解は、解の公式より、
$$x=\frac{ -2\pm\sqrt{2^2-4\cdot1\cdot3} }{ 2\cdot1 }$$
$$=\frac{ -2\pm\sqrt{-8} }{ 2 }$$
以下略
しかし、これではルートの中がマイナスとなり、大きさがない偽りの数である虚数を導入しなくてはなりません。
不等式は大きさを比べているのに、これではうまくいきません。
何かがおかしいようです。
しかし、A子さんは自分の解答のどこが間違いなのか全くわかりません。
A子さんの解答のどこが間違っているのでしょうか。
それは、グラフをかけばわかります。まず、
$$y=x^2+2x+3$$
とおきます。これをグラフをかくために平方完成します。
$$y=x^2+2x+3$$
$$=x^2+2x+1+2$$
$$=\left(x+1\right)^2+2$$
できるグラフは次のようになります。
これを見れば一目瞭然ですね。
yはxがどんな値でも、正の値をとることがわかります。
よって、解は
すべてのxについて成り立つ
です。
A子さんの解答のどこが間違いだったのか分かりますか?
A子さんのやり方はグラフとx軸が交わる時にしか使えないのに、それを確認せずにやってしまったことが間違いです。
そもそも (左辺)=0 という方程式は「グラフとx軸の交点のx座標」を求めるためのものです。
グラフとx軸が交わらない時に、交わるとして解答を進めたら矛盾が生じるのは当たり前のことです。
しかし、A子さんは、(左辺)=0 という方程式の意味を理解していながために、自分のミスに全く気づかないのです。
これが理解している人と理解していない人の違いです。
まとめ
だいたい理解の重要性を理解していただけたでしょうか。
数学は暗記だけでは対応できない部分もあり、暗記と理解のバランスが大事になってきます。
自分なりにそのバランスをうまくとるようにするとテストの点数も上がってくるはずです。
それでは、今日はこれで終わりにします。
またね。