数学

等式には2つの種類がある!?方程式と恒等式の違い

2016/12/01

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皆さんこんにちは。

よしきです。

 

突然ですが、等式には2つの種類があるってご存知でしょうか?

ズバリ、方程式と恒等式の2つです。

 

これらの違いを理解しておかないと、数学や理科科目においてわけがわからなくなる部分が出てきます。

それにも関わらず、学校ではこの2つの違いについてほとんど触れずに授業を進めているように感じます。

今回の記事では、方程式、恒等式の違いは何なのかを説明していきます。

 

 

1.方程式、恒等式とは

1-1.「ある数でしか」と「どんな数でも」

まず、次の2つの式を見てください。

$$式①\,2x+2=4$$

$$式②\,2\left(x+1\right)=2x+2$$

式①は方程式、式②は恒等式です。

 

方程式は「ある数をxに入れると成り立つ式」で、

恒等式は「どんな数をxに入れても成り立つ式」です。

 

式①を見てください。

例えば、式①のxに3を入れてみると、

$$式①\,2x+2=4$$

$$\left(左辺\right)=2\cdot\color{magenta}3\color{black}+2=6+2=8\not=\left(右辺\right)$$

となり、x=3だと式①は成り立たないと分かります。

つまり式①は、どんな数でも成り立つ恒等式ではなく、ある決まった数でしか成り立たない方程式であると分かります。

 

実際、x=1としてみると、

$$式①\,2x+2=4$$

$$\left(左辺\right)=2\cdot\color{magenta}1\color{black}+2=4=\left(右辺\right)$$

となり、式が成り立ちます。

このように、方程式が成り立つ時のxの値を、その方程式の「解」と言います。

方程式①の解はx=1ということです。

 

つまり、式①はある決まった数「1」をxに入れた時にしか成り立たない方程式であると言えます。

(方程式を完全に解かなければ、「x=1の場合だけ成り立つ」とは言い切れません。記事の構成上、方程式の解き方は後回しにしています。)

 

次に式②を見てみましょう。

式②のxに1,2,3,を入れてみます。

$$式②\,2\left(x+1\right)=2x+2$$

$$\left(左辺\right)=2\left(\color{magenta}1\color{black}+1\right)=2\cdot2=4$$

$$\left(右辺\right)=2\cdot\color{magenta}1\color{black}+2=2+2=4$$

$$\left(左辺\right)=\left(右辺\right)$$

 

$$\left(左辺\right)=2\left(\color{magenta}2\color{black}+1\right)=2\cdot3=6$$

$$\left(右辺\right)=2\cdot\color{magenta}2\color{black}+2=4+2=6$$

$$\left(左辺\right)=\left(右辺\right)$$

 

$$\left(左辺\right)=2\left(\color{magenta}3\color{black}+1\right)=2\cdot4=8$$

$$\left(右辺\right)=2\cdot\color{magenta}3\color{black}+2=6+2=8$$

$$\left(左辺\right)=\left(右辺\right)$$

 

こんな感じで、xにどんな数を入れても式②は成り立ちます。

このような式を恒等式(厳密にはxについての恒等式)と言います。

 

1-2.例

続いて、例を紹介していきます。

 

方程式の例

  • $$式③\,3x+1=7$$
  • $$式④\,x^2-3x+2=0$$
  • $$式⑤\,x+2=x$$
  • $$式⑥\,ax=2x\left(aは定数\right)$$

 

式③は一次方程式、式④は二次方程式ですね。

ちなみに、解は式③はx=2、式④はx=1またはx=2です。

式⑤は・・・

解がない方程式です。

解が存在しなくても方程式と言えます。

式⑥はちょっと難しいかもしれません。(読み飛ばしても構いません。)

何やら変な数aが入り込んでいますね。

これも方程式です。

解を求めてみましょう。

$$式⑥\,ax=2x\left(aは定数\right)$$

$$a\not=2の時 解:x=0$$

$$a=2の時 解:すべての数\left(つまり恒等式\right)$$

このように、場合によって恒等式になり得る方程式もあります。

 

 

次に恒等式の例です。

 

恒等式の例

  • $$(a+b)^2=a^2+2ab+b^2$$
  • $$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$$

  • $$・\log_a{xy}=log_a{x}+log_a{y}$$

    $$\left(ただしa\not=1,a>0,x>0,y>0\right)$$

  • $$・(x+1)^2+3=x^2+2x+4$$

 

これらは、式中の文字(変数)にどのような値を入れても成り立ちます。

3番目の式には a≠1,a>0,x>0,y>0 という条件がついています。

このように、条件がついている恒等式もあります。

 

 

続いて、それぞれの等式の特徴を見ていきましょう。

2.方程式と恒等式の特徴

方程式と恒等式にはそれぞれに特徴があります。

それぞれ違った用途で使われます。

この記事で二つの式の特徴をおさえてしまいましょう。

2-1.方程式の特徴

2-1-1.解くことを目的とする

方程式はある決まった数でしか成り立たない式だと説明しました。

なので、方程式はその数(解)を求めることを目的とします。

方程式の解を求めることを「方程式を解く」と言います。

 

次のような問題を思い出してください。

 

問題:3年A組が学校行事で優勝し、景品としてうまい棒をたくさんもらいました。

クラスで1人につき4本ずつ配ると16本足りず、3本ずつ配ると14本余ります。

A組は何人いるでしょう?

 

中学校で習う一次方程式の問題ですね。

 

解答:クラスの人数をx人とすると、うまい棒の本数は次の2式で表せる。

$$\left(うまい棒の本数\right)=4x-16$$

$$\left(うまい棒の本数\right)=3x+14$$

よって次の一次方程式が立てられる。

$$4x-16=3x+14$$

これを解くと、x=30となり、A組は30人いると分かる。

(ちなみに、うまい棒の数は4×30-16=3×30+14=104本)

 

このように、分かっていない数を仮にxと置いて、そのxがどんな値になるか調べよう、という作戦に使われるのが方程式なのです。

なので、数学の問題で出てくる方程式は基本的に解くことが要求されます。

 

「このような性質を満たすxを見つけたい。

なので、この方程式を解いてくれ!」

ってことですね。

2-1-2.式変形の仕方

方程式を解くためには、方程式を式変形していく必要があります。

 

方程式の式変形の仕方は次の2通りです。

  • ⑴両辺に同じ操作をする。
  • ⑵左辺、または右辺を変形する。

では、一つずつ見ていきましょう。

 

⑴両辺に同じ操作をする。

例として、最初に取り上げた方程式を解いてみましょう。

$$式①\,2x+2=4$$

これです。

 

$$2x+2=4$$

$$\downarrow両辺に-2$$

$$2x=2$$

$$\downarrow両辺に\times\frac{1}{2}$$

$$x=1$$

 

見事に解を求めることができました。

 

⑵左辺、または右辺を変形する。

続いて、次のような方程式を解いてみましょう。

$$\left(x+1\right)^2+x-5=0$$

 

今回は左辺を変形していきます。

$$\left(左辺\right)=\left(x+1\right)^2+x-5$$

$$=x^2+2x+1+x-5$$

$$=x^2+3x-4$$

$$=\left(x+4\right)\left(x-1\right)$$

ここで、(左辺)=(右辺)より

$$\left(x+4\right)\left(x-1\right)=0$$

よって、解はx=-4,1

 

こんな感じです。

次のように書いても構いません。

$$\left(x+1\right)^2+x-5=0$$

$$x^2+2x+1+x-5=0$$

$$x^2+3x-4=0$$

$$\left(x+4\right)\left(x-1\right)=0$$

解はx=-4,1

 

2-1-3.解がないことも、解がすべての数であることもある

先ほどの例でも説明しましたが、方程式には、解がないことも、解がすべての数であることもあります。

これについて、なぜそのような式でも方程式と呼べるか、僕なりに解釈してみました。

 

$$式⑤\,x+2=x$$

これは、解のない方程式でしたね。

この方程式はこう捉えられます。

「自分に2を足して、自分自身になる数を見つけたい。

なので、この方程式を解いてくれ!」

それに対し、私たちはこう答えるわけです。

「そんな数は存在しません。」

 

つまり、「解」がなくても、「解答」は存在するわけです。

解がなかろうと、解がすべての数であろうと、方程式を立てた時点では分かりません。

方程式はある性質を満たす変数を探す式です。

ないものを探したって、当たり前のものを探したって、自由ですよね。

なので、方程式は解がないことも、解がすべての数であることもあります。

 

ちょっと抽象的でしょうかね^^;

 

では、続いて恒等式の特徴を紹介します。

 

2-2.恒等式の特徴

2-2-1.公式になっている

先ほど挙げた恒等式の例をもう一度見てください。

 

$$・a(b+c)=ab+ac$$

$$・\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$$

$$・\log_a{xy}=log_a{x}+log_a{y}$$

$$\left(ただしa\not=1,a>0,x>0,y>0\right)$$

 

これはすべて公式と呼ばれる式ですね。

多くの公式は恒等式で成り立っています。

恒等式は、式中の変数にどのような値を入れても成り立つので、とても便利です。

なので数学において、恒等式は、公式という解法の道具として利用され、とても重宝されます。

 

2-2-2.式の掛け渡しとなる「橋」の役割

恒等式の中の「=」は、等価な意味を持つ式と式を繋ぐ「橋」とみなすこともできます。

例えば、先ほど解いたこの方程式を思い出してください。

$$\left(x+1\right)^2+x-5=0$$

これを解く際に、左辺を変形していきました。

 

$$\left(左辺\right)=\left(x+1\right)^2+x-5$$

$$=x^2+2x+1+x-5$$

$$=x^2+3x-4$$

$$=\left(x+4\right)\left(x-1\right)$$

ここで登場する「=」はすべて恒等式のものです。

恒等式は、等価な意味の式と式を繋いでいるので、

$$\left(x+1\right)^2+x-5 と \left(x+4\right)\left(x-1\right)$$

は同じ意味を表しているわけです。

つまりは、問題の方程式

$$\left(x+1\right)^2+x-5=0$$

を解く代わりに、次の方程式

$$\left(x+4\right)\left(x-1\right)=0$$

を解いても同じ結果になるわけです。

 

このように、恒等式は「複雑な式」と「簡単な式」を繋ぐことで、複雑な式を簡約化することができます。

また、簡約化するだけでなく、目的に合わせて変形することもできます。(平方完成など。)

 

2-2-3.証明問題に出てくる

恒等式は証明問題に出てきます。

例えば、次のような問題です。

 

問題:次の等式を証明せよ。

$$x^3-1=\left(x-1\right)\left(x^2+x+1\right)$$

 

これは恒等式です。

つまり、xにどのような値を代入しても、この式は成り立ちます。

よって、証明をするときに、

x=1を代入したら正しい!

x=2を代入しても正しい!

x-3を代入しても・・・

とやっていては証明できません。

無限のパターンを検証しなければなりませんからね。

 

3.方程式と恒等式を見分ける練習

一通り、方程式と恒等式の特徴を紹介したところで、見分ける練習をしてみましょうか。

次の「=」は方程式と恒等式のどちらのものでしょうか。

方程式だったら解を求め、恒等式だったら証明してみてください。

 

練習

  • $$⑴\,x^2+x=2$$
  • $$⑵\left(x+3\right)\left(x+4\right)+1=x^2+7x+13$$
  • $$⑶\left(x-1\right)\left(x+4\right)<0$$
  • $$⑷x^2>2x\ \left(ただしx>2\right)$$

いきなり不等式が出てきて戸惑ったかもしれませんが、不等式についても同じ考え方で大丈夫です。

 

 

 

答え

$$⑴\,x^2+x=2$$

方程式

解:x=-2,1

 

$$⑵\left(x+3\right)\left(x+4\right)+1=x^2+7x+13$$

恒等式

証明:

$$\left(左辺\right)=\left(x+3\right)\left(x+4\right)+1$$

$$=x^2+7x+12+1$$

$$=x^2+7x+13=\left(右辺\right)$$

 

$$⑶\left(x-1\right)\left(x+4\right)<0$$

解くべき不等式(方程式の不等式バージョン)

解: -4<x<1 (解き方は省略)

この範囲の時だけ、⑶は成り立つ

 

$$⑷x^2>2x\ \left(ただしx>2\right)$$

条件付きの絶対不等式(恒等式の不等式バージョン)

証明:

$$\left(左辺\right)-\left(右辺\right)$$

$$=x^2-2x$$

$$=x\left(x-2\right)$$

$$条件x>2よりx>0,x-2>0$$

$$よって、x\left(x-2\right)>0$$

$$つまり、\left(左辺\right)-\left(右辺\right)>0$$

$$ゆえに、\left(左辺\right)>\left(右辺\right)$$

 

 

 

では、最後にもう一問。

次の等式の「=」は、それぞれ方程式と恒等式のどちらのもの?

$$\left(x+1\right)^2+x-5$$

$$=x^2+2x+1+x-5$$

$$=x^2+3x-4$$

$$=\left(x+4\right)\left(x-1\right)$$

$$=0$$

 

 

 

 

答え:

最初の3つの「=」は恒等式、最後の「=」は方程式のもの。

 

 

最後に

結構長い記事になってしまいましたね。

最後まで読んでくださった方はありがとうございます、そしておつかれさまでした。

 

普段何気なく使っている2種類の等式について分かっていただけたでしょうか。

数学の問題を解く際は、2つの式を混同しないように気をつけてみてください。

 

僕もまだまだ未熟なので、この記事に関して何か間違いがあればコメントをくれるとありがたいです。

 

それでは、終わりにします。

またね!