化学

理論化学の計算問題のコツ

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理論化学って計算問題が多いですよね。

長い問題文を読むと、結局何を言っているのか分からなくて投げ出してしまいたくなるかもしれません。

 

しかし、理論化学の計算問題はコツさえ押さえれば案外簡単に解くことができるのです。

今回は、そのコツをお伝えしたいと思います。

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理論化学の計算問題はだいたいこの2つで何とかなる

 

理論化学の計算問題は数学に出てくる様々な分野の問題と違って、実は共通する解法があります。

 

それは、

  と 単位換算 です。

 

これだけ聞いても大抵の人は何のこっちゃって感じですよね。

ということで説明のために次の問題をみてください。

 

問題

メタノールの燃焼の化学反応式を次に示す。以下の問いに答えよ。

$$2CH_3OH(液体)+3O_2(気体)$$

$$→2CO_2(気体)+4H_2O(液体)$$

十分な量のメタノールにある量の酸素を完全に反応させたところ、標準状態で44.8LのCO2が得られた。

加えた酸素の質量は何gか。

 

慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、慣れてしまえば簡単に解ける問題です。

 

それでは、この問題を解いていきましょう。

 

まず、問題を整理します。

これは慣れるまではすべての問題でやることをおすすめします。

というか、慣れると無意識にできるようになります。

 

何を整理するかというと、

  • 与えられた情報
  • 求める情報

この2つです。

 

今回の場合、与えられた情報は

  • メタノールの化学反応式
  • 44.8LのCO2

おおざっぱに捉えるとこの2つです。

 

求める情報は

  • 酸素O2の質量(g)

です。

 

整理できたら、与えられた情報をうまく「変換」して求める情報にします。

 

化学反応式が与えられた時のコツは、式中の物質を物質量(mol)に変換することです。

ということで、CO2を物質量に変換します。

 

ここで、単位換算を行います。

 

今回は、唯一与えられた具体的な情報であるCO2の体積を物質量に変換します。

L → mol

という変換です。

 

標準状態における気体の体積は1molあたり22.4Lです。

数式で表すと 22.4L / mol です。

 

ここで、単位換算のコツを教えます。

単位換算をする時、割ればいいのか掛ければいいのか分かりづらいですよね。

 

その悩みを一掃できる技があります。

それは、

 

単位同士で計算する

 

という方法です。

 

これだけでは分からないと思うので、実際にやってみましょう。

 

今、行いたい単位換算は L → mol です。

そこで、L / mol という単位を利用します。

「/(パー)」というのは元々分数なので、L / mol というのは結局

$$\frac{L}{mol}$$

ってことです。

 

では、 L → mol にするために単位同士で計算してみましょう。

$$L\div\frac{L}{mol}=L\times\frac{mol}{L}=mol$$

 

今分かっている情報の「L」と「L/mol」を使って、

知りたい情報の「mol」を得たわけです。

%e7%90%86%e8%ab%96%e5%8c%96%e5%ad%a6%e3%80%802

 

ここまででは、何をやっているか分からないかもしれません。

では、具体的な数字を入れていきましょう。

 

$$44.8L\div\frac{22.4L}{mol}=44.8L\times\frac{mol}{22.4L}=2mol$$

 

はい。これでCO2が2mol発生したと分かったわけです。

 

単位換算終了です。

 

それでは、先に進みましょう。

 

CO2が2molだと分かったので、以下の化学反応式を利用します。

$$2CH_3OH(液体)+3O_2(気体)$$

$$→2CO_2(気体)+4H_2O(液体)$$

 

ここで使うのがです。

化学反応式の係数に注目すると、O2とCO2の物質量の比は3:2だとわかります。

(化学反応式の係数は物質量の比を表します。)

CO2の物質量は2molだと分かったので、

 

$$3:2=O_2の物質量:2mol$$

$$ゆえにO_2の物質量=3mol$$

 

これで、酸素の物質量が分かりました。

 

ところで、問題で問われているものは酸素の質量でしたね。

 

ということで、また単位換算です。

mol → g の単位換算ですね。

 

ここですぐに単位換算の方法を思いつかなければなりません。

理論化学の計算問題では単位換算は頻出ですからね。

 

mol → g の単位換算にはもちろん mol / g か g/mol という単位が必要となります。

これにあたるのが分子量です。

酸素O2の分子量は 16×2=32 ですね。

これは、酸素は1molあたり32gあることを意味しています。

つまり、数式で表すと

32g/mol

ですね。

これと mol を使って g にする計算を考えると、

$$mol\times\frac{g}{mol}=g$$

上の式のように掛け合わせればいいとわかります。

 

具体的な値を入れると、

$$3mol\times\frac{32g}{mol}=96g$$

 

よって、酸素の質量は96gだと分かりました。

 

答え:96g

 

おさらい

最後におさらいしましょう。

 

問題

メタノールの燃焼の化学反応式を次に示す。以下の問いに答えよ。

$$2CH_3OH(液体)+3O_2(気体)$$

$$→2CO_2(気体)+4H_2O(液体)$$

十分な量のメタノールにある量の酸素を完全に反応させたところ、標準状態で44.8LのCO2が得られた。

加えた酸素の質量は何gか。

 

まず、情報を整理します。

 

与えられた情報

  • メタノールの燃焼の化学反応式
  • 44.8LのCO2

求める情報

  • 酸素O2の質量

 

次に、与えられた情報から求める情報へ情報の変換をします。(単位換算

下のような感じ。

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このように、情報を整理し、次々と情報を変換していくという作業が理論化学の計算問題の基本的な解き方です。

 

まとめ

比と単位変換の重要性分かっていただけたでしょうか。

この2つは基礎中の基礎かもしれません。

しかし、同時に非常に重要なことでもあります。

 

基礎だからといってあなどってはいけません。

 

また、この2つをうまく使うには、問題を整理する能力も必要になります。

時には、自分で表を書いてみたりするといいでしょう。

 

理論化学の計算問題は本当にこれだけです。

整理して、比や単位換算を行う。

 

皆さんもそれを意識しながら取り組みましょう。

 

問題を整理する具体的な方法については、機会があればまた別の記事で紹介したいと思います。

 

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